長引く不況や雇用問題、薄弱な人間関係など不安材料の多い現代社会・・・

今や抑うつなどの症状が続くうつ病に悩む人の数は100万人を超え、厚生労働省の患者調査によると、9年間で約2.4倍にも増えているとされています。

うつ病によって起こる症状 

症状は、次のように大きく「精神症状」と「身体症状」に分けられ、それらの症状がほぼ毎日、 2週間以上にわたって続くと「うつ病」と診断されます。

◎精神症状  
気分の落ち込み、憂うつ感、億劫さ、意欲の低下、集中力や判断力の低下  

◎身体症状 
倦怠感、頭重・頭痛、身体の各部位の痛みやしびれ、食欲の低下など  
このような症状は、過剰なストレスを受け続けることで脳の機能が失調を起こし、その影響が身体の調子を一定に保つシステム(自律神経系・ホルモン系・免疫系)にまで及ぶことによって現れます。   

うつ病の世代間の特徴 

うつ病は、働き盛りの30歳代後半から40歳代が最も多いと言われていますが、幅広い年齢層に見られ、世代間によって次のような特徴があります。  

◎若者  
若い世代では、うつ病とまではいかず、それよりも軽い「うつ状態」であることが多いとされ ています。  
自己への愛着が強いタイプや、自分に漠然とした自信を持つタイプ、また周りの環境にうまく適応することができないタイプなどに多く見られ、「倦怠感」の症状が長引くのが特徴です。  
また若者の場合、自らうつ病だと考えたがることが多く、うつに悩むようになってしまったことを、他人や周りの環境の責任にして非難する傾向があります。   

◎働き盛り  
働き盛りの世代は、仕事に忙殺されて責任も重くなり、一方で、家庭でも子供の教育や親の介護など多くのストレスにさらされます。  こうした環境の中で、几帳面でまじめに物事に取り組むタイプや、責任感が強く周囲の期待にこたえようと頑張りすぎてしまうタイプなどにうつ病を起こす人が多く、精神症状をよく訴えるのが特徴です。 
またこの世代は、自らうつ病であることを認めたがらず、症状が現れても自分の力不足に原因があると考えてしまう傾向があります。   

◎産後・更年期  
産後や更年期は女性ホルモンの分泌量が急激に変化し、さらに産後では子育てや家事、更年期では子供の独立や親の介護といった環境変化が加わってきます。 
このような体内環境や生活環境の大きな変化がうつ病を招くきっかけとなります。
 産後のうつ病は、夫など周りのサポートが充分に得られず一人で抱え込んでしまう場合に多く、育児に対する過剰な不安やイライラ感、また不眠や食欲低下、倦怠感といった身体症状も現れます。  

一方の更年期では、めまいや動悸、顔のほてりなどの更年期障害による症状に、強い憂うつ感や物事に興味が湧かないなどの症状が重なって見られるのが特徴です。  

◎高齢者  
高齢者は、配偶者や友人など身近な人との死別によって大きなショックを受け、生活も孤独に なることが多くなります。
さらに加齢に伴う身体機能の衰えに対して不安を抱き、うつ病を引き起こします。 
この世代のうつ病は、元気がない、閉じこもりがちになるなどの精神症状がよく見られ、不眠 や食欲低下、また痛みを強く訴える人も多いと言われています。   

うつ病の薬物療法  

「充分な休養」と「ストレスの軽減」を基本に、薬物療法としては、抗うつ薬による治療が行われます。  

図のように、健康な人の場合は、気分や意欲を調節する脳内の神経伝達物質「セロトニン」「ノルア ドレナリン」が神経細胞間に充分にあり、一部は再度神経細胞に取り込まれて活用されます。 

しかし、うつ病の人では神経伝達物質の量が少なくなっているため、抗うつ薬が再取り込みを阻害することによって、その量を増やす働きをします。

抗うつ薬には次のような種類があります。

ただし、青少年の場合、これらの薬の服用によって、不安感が高まったり、イライラ感が現れたりすることがあるため、注意が必要とされて います。   

    

 漢方の考え 

凡そ病は、鬱によりておこること多し」 といわれるように、多くの病気は精神的な要素によるものが多いです。

漢方の考えには、喜・怒・憂・思・悲・恐・驚の7つの感情を「七情」といい重要な発病原因とされています。 

漢方での「うつ」は西洋医学の「うつ」に比べ範囲が広く、自律神経失調症、心身症、神経症、神経衰弱、更年期障害、不眠症、痴呆症など多くの病症を含みます。 

鬱とは滞りて不通の意なり」 とあるように鬱とは何かが滞った状態で、 気鬱、血鬱、痰鬱、湿鬱、熱鬱、食鬱の6つの鬱があります。 

そのうち、最も多く発症するのが気鬱で、他の鬱も気鬱と共に現れるので、漢方ではこの滞りをとる漢方薬が用いられます。 

◎よく用いられる漢方薬 

加味逍遥散、四逆散、半夏厚朴湯、柴朴湯、柴陥湯、温胆湯、甘麦大棗湯、酸棗仁湯、帰脾湯、桂枝加竜骨牡蠣湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、天王補心丸・・・など 漢方薬は、症状・体質によりことなりますので、漢方薬をお選びの際は当店にご相談ください。  

うつ病の漢方カウンセリング

あなたの状態、予算に応じて、数パターン提案させていただきます。
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