不安感があって、動悸、めまい、ふらつきのある方。

出典 『傷寒論』『金匱要略』

「傷寒、若しくは吐し、若しくは下して後、心下逆満(みぞおちの痞え)、気胸に上衝し(動悸がする)、起てば則ち頭眩(頭がふらつく)す。脈沈緊、汗を発するとき則ち経を動かし(誤って発汗すると血液循環の変調をきたす)、身振々として揺(めまいとふらつき)をなす者は、苓桂朮甘湯を主る」(傷寒論)「心下に痰飲あり、胸脇支満(胸脇部が痞えて膨満する)、 目眩するもの、苓桂朮甘湯之を主る」「それ短気(呼吸急促)、微飲(かすかな水毒)あり、当さに小便より之を去らしむべし (小便の出をよくして水毒を去るのが良い)、苓桂朮甘湯之を主る。腎気丸亦之を主る」(金匱要略)

処方の特徴

苓桂朮甘湯は、めまいや立ちくらみの処方、または頭痛や不安感など神経質な方の処方として用いられる。
低血圧ぎみの方に用い、よく「宵っぱりで朝寝坊」といわれる スロー・スターターの五時から男(夜に強い方)向きの処方という。
本来、苓桂朮甘湯は、からだの熱やエネルギー不足(心脾陽虚) のために、心下部あたりに水分の停滞 (痰飲)が生じたものを、 からだを温めて痰飲を除く(湿化水湿剤)処方である。それで、 疲れやすく、食欲がない、動悸、めまい、体がふらつく、精神不安など「宵っぱりで朝寝坊」状態を改善する。

効能効果

体力中等度以下で、めまい、ふらつきがあり、とき にのぼせや動悸があるものの次の諸症:

立ちくらみ、めまい、頭痛、耳鳴り、動悸、息切れ、 神経症、神経過敏